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本番環境でのエージェント型ワークに Claude Opus 4.7 と GPT-5.5 のどちらを選ぶかは、見た目ほど単純ではありません。どちらも各社のフラッグシップモデルであり、複雑なマルチステップタスクを狙い、2026年初頭に数週間差で登場しました。
Anthropic は 2026 年 4 月 16 日に Claude Opus 4.7 をリリースし、長時間のエージェント型コーディングと複雑なツール使用に対応したハイブリッド推論モデルとして位置づけました。OpenAI は続いて GPT-5.5 を発表し、効率性の向上と長コンテキスト推論の強化を強調しました。総合的な明確な勝者はいません。ベンチマークは興味深い形で分かれており、最適解は実際に何を作るかによって変わります。
本記事では、Claude Opus 4.7 と GPT-5.5 を次の 5 つの観点で比較します:コーディングとエージェント型ワークフロー、推論と知識タスク、ツール使用とコンピュータ操作、マルチモーダル機能、価格。各モデルの背景は、Claude Opus 4.7 と GPT-5.5 のガイドをご覧ください。
GPT-5.5 とは?
GPT-5.5 は OpenAI が 2026 年 4 月 23 日にリリースしたエージェント志向のモデルです。標準の GPT-5.5 と、より高度なビジネス・法務・データサイエンス向けの上位版 GPT-5.5 Pro の 2 種があり、GPT-5.5 Pro はベースモデル比でトークン単価がおよそ 6 倍高くなります。
OpenAI の主張する要点は、トークン効率の改善(同等の Codex タスクをより少ないトークンで完了)と、128K トークンを超えて 1M まで耐える長コンテキスト推論、加えてエージェント型コーディング、コンピュータ使用、ナレッジワークでの性能向上です。OpenAI はまた、社内版 GPT-5.5 が非対角ラメジー数に関する新しい証明に貢献したと報告しています。GPT-5.5 は ChatGPT と Codex で利用可能で、API 提供は別途段階的に展開されています。
GPT-5.5 のベンチマークと効率性の詳細は、300K トークンのドキュメントで長コンテキスト検索を検証した GPT-5.5 ガイドをご覧ください。
Claude Opus 4.7 とは?
Claude Opus 4.7 は Anthropic が 2026 年 4 月 16 日に公開した現行のフラッグシップモデルです。Claude Opus 4.6 の後継で、Anthropic のラインナップでは社内限定の Mythos Preview の下位に位置します。複雑なエージェント型ワークフロー、高度なソフトウェアエンジニアリング、セッションをまたいで持続的な性能が必要な長期タスク向けに設計されています。
Opus 4.6 からの主な変更は、SWE-bench Pro のスコアが 10.9 ポイント上昇(53.4% → 64.3%)、ビジュアル解像度が 3 倍(最大 3.75MP)に、ファイルシステムメモリの改善、そして high と max の間に位置する新しい xhigh 推論努力レベルの追加です。価格は入力 100 万トークンあたり $5、出力 100 万トークンあたり $25 で、Opus 4.6 から据え置き。Claude API(モデル ID:claude-opus-4-7)、Amazon Bedrock、Google Cloud の Vertex AI、Microsoft Foundry から利用可能です。
Opus 4.7 の実力を確認したい場合は、Claude Opus 4.7 Practical Benchmark チュートリアルで、ファイルシステムメモリが実際に努力レベルごとのコーディング性能を改善するかを検証しています。競合との比較は、Claude Opus 4.7 vs Gemini 3.1 Pro ガイドも参考になります。
GPT-5.5 と Claude Opus 4.7 の比較
詳細に入る前のクイックリファレンスです。
| 機能 | GPT-5.5 | Claude Opus 4.7 |
|---|---|---|
| リリース日 | 2026年4月23日 | 2026年4月16日 |
| 開発元 | OpenAI | Anthropic |
| コンテキストウィンドウ | 100万トークン | 100万トークン |
| SWE-bench Pro | 58.6% | 64.3% |
| Terminal-Bench 2.0 | 82.7% | 69.4% |
| GPQA Diamond | 93.6% | 94.2% |
| MCP-Atlas(ツール使用) | 75.3% | 77.3% |
| OSWorld-Verified(コンピュータ使用) | 78.7% | 78.0% |
| CharXiv 視覚推論(ツールなし) | 未公表 | 82.1% |
| 価格(入力 / 出力) | 100万トークンあたり $5 / $30(Pro はベースの6倍) | 100万トークンあたり $5 / $25 |
| 提供形態 | ChatGPT、Codex、API | Claude API、Bedrock、Vertex AI、Foundry |
エージェント型コーディング
この領域は、どちらか一方の明確な勝ちではないものの、差が最も見えやすいポイントです。
GPT-5.5 はエージェント型のコーディングループに特化して設計されています。自らの出力を検証し、タスク完了まで継続し、最小限のユーザー指示でマルチステップタスクを処理します。Opus 4.7 も同様に、自己出力検証、タスク予算、システムファイルメモリの改善、新しい xhigh(high の 5,000 と max の 20,000 の間にあたる 10,000 思考トークン)という推論努力レベルを備えています。
SWE-bench Pro では、Opus 4.7 が 64.3% と優位で、GPT-5.5 は 58.6%。一方、Terminal-Bench 2.0 では逆転し、Opus 4.7(69.4%)は GPT-5.5(82.7%)に 10 ポイント以上の差をつけられています。
チームが主にコードを出荷する(バグ修正や大規模リポジトリでの機能開発)のであれば、SWE-bench Pro での優位から Opus 4.7 が適しています。サーバーセットアップやマルチステップのシェル自動化といったターミナル中心の DevOps ワークフローでは、Terminal-Bench の圧倒的なスコアにより GPT-5.5 が明確に有利です。
推論と知識タスク
大学院レベルの推論に関しては、両モデルはほぼ互角です。Opus 4.7 は GPQA Diamond で 94.2%、GPT-5.5 は 93.6% と肉薄します。
学際的推論ベンチマークである Humanity's Last Exam では、Opus 4.7 はツールなしで 46.9%、ツールありで 54.7%。GPT-5.5 はツールなしで 41.4%、ツールありで 52.2% です。ツール使用時の差は小さいものの、ツールなしの推論では Opus 4.7 が 5 ポイント超の差でリードしています。
エージェント型のウェブ検索を測る BrowseComp では、GPT-5.5 が 84.4%(GPT-5.5 Pro は 90.1%)で、Opus 4.7 の 79.3% を上回ります。これは実質的な差です。ワークフローがウェブリサーチに強く依存する場合、GPT-5.5 に明確な優位があります。
もう一つ GPT-5.5 が先行するのは数学です。FrontierMath の両レベルで、Opus 4.7 との差はかなり大きくなっています。
|
GPT-5.5 Pro |
GPT-5.5 |
Claude Opus 4.7 |
|
|
FrontierMath ティア 1-3 |
52.4% |
51.7% |
43.8% |
|
FrontierMath ティア 4 |
39.6% |
35.4% |
22.9% |
両レベルとも、Pro 版はベースの GPT-5.5 に数ポイント上乗せします。これが 6 倍の価格差を正当化するかは別問題です。価格の詳細は後述します。
ビジョンとマルチモーダル機能
Opus 4.7 はビジョンを主要な改善点の一つとして掲げており、ベンチマーク結果もそれを裏付けます。科学的なチャートに対する視覚推論を測る CharXiv Reasoning で首位となり、ツールなしで 82.1%、ツールありで 91.0% を記録しました。
この背景には、サポートする画像解像度が 3 倍に増え、最大 3.75MP(2576px)になったという構造的な変更があります。高解像度画像はトークン消費が増えるため、Anthropic は追加の精細さが不要な場合はダウンサンプリングを推奨しています。Opus 4.6 からの伸びは大きく、ツールなしで 69.1% → 82.1% と 13 ポイントの上昇です。
Claude Opus 4.7 API チュートリアルでは、これらの機能を使ってチャートの数値化ツールを構築する方法を紹介しています。ぜひ確認してください。
GPT-5.5 は研究ノートに CharXiv のスコアが公開されていないため、ここでの直接比較はできません。ワークフローの中心がビジョンタスクであれば、Opus 4.7 は大きな改善が実証されており、その理由となる構造的変更も明確です。GPT-5.5 のビジョン能力が同等である可能性はありますが、裏付けはまだ出ていません。
ツール使用とコンピュータ操作
マルチツールのワークフロー編成を測る MCP-Atlas では、Opus 4.7 が 77.3% で GPT-5.5 の 75.3% を上回ります。自律的なコンピュータ使用を測る OSWorld では、両者はほぼ互角で、Opus 4.7 は 78.0%、GPT-5.5 は 78.7% です。
Opus 4.7 は API のパブリックベータでタスク予算も導入しており、タスクごとのトークン上限を設定できます。コスト予見性が重要な本番エージェント型ワークフローでは、GPT-5.5 に直接相当する機能がない実用的な特長です。総じて、GPT-5.5 も同様の長時間エージェントループ向けに設計されていますが、ツール使用ベンチマークは僅差で Opus 4.7 を支持します。
価格
Opus 4.7 は入力 100 万トークンあたり $5、出力 100 万トークンあたり $25。プロンプトキャッシュにより入力コストを最大 90% 削減でき、標準キャッシュでも 50% 節約できます。これらの数字は Opus 4.6 から変更ありません。
GPT-5.5 は入力 100 万トークンあたり $5、出力 100 万トークンあたり $30。バッチおよびフレックス価格は標準の半額、優先処理は 2.5 倍です。最も高精度が求められるタスク向けの GPT-5.5 Pro は、入力 $30 / 出力 $180(いずれも 100 万トークンあたり)で、ベースの GPT-5.5 の 6 倍の価格です。
ベンチマーク結果を見る限り、GPT-5.5 Pro の高価格に見合うのは、難易度の高い数学やウェブ検索タスクを含み、かつ高い精度が重要なワークフローに限られます。たとえば厳密な数的推論を要する財務モデリングのパイプラインや、複数のライブソースから回答を統合する自動調査エージェントなどです。
エージェント型のワークロードでコストが嵩む出力トークンでは、標準レートで GPT-5.5 は Opus 4.7 より 20% 高価です。Pro ティアでは差が大幅に拡大します。なお、Anthropic は Opus 4.7 で新しいトークナイザーを導入しており、Opus 4.6 とのトークン単位の単純比較は難しくなっています。Artificial Analysis によると、Opus 4.7 はインテリジェンス・インデックスの実行において Opus 4.6 より出力トークンを約 35% 削減しており、トークン単価の一部を相殺します。
長コンテキスト性能
両モデルとも 100 万トークンのコンテキストウィンドウをサポートします。より重要なのは、それを実際に活用できるかどうかです。
GPT-5.5 の検証では、Berkshire Hathaway の FY2025 と FY2024 の 10-K を連結し、実テキストで 30 万トークン弱を投入しました。GPT-5.5 はこのテストをパスしました(128K トークンを超えると劣化が見られた GPT-5.4 と対照的です)。MRCR のニードルテストや Graphwalks の推論テストでも、GPT-5.4 が破綻したコンテキストサイズで GPT-5.5 は一貫した性能を示しました。
Opus 4.7 の 100 万トークンコンテキストは、セッションをまたいで自分用のメモを書き残し、確実に想起できるファイルシステムメモリの改善と組み合わさっています。これは補完的なアプローチです。単一の巨大なコンテキスト上の推論は GPT-5.5 が得意で、構造化メモリを用いた複数セッション間の整合維持は Opus 4.7 が得意です。どちらが重要かはワークフロー次第です。
ただし、Opus 4.7 のベンチマークチュートリアルでは、複数の新機能を併用する際の注意点も確認しました。モデルの自己批評を次タスクに引き継ぐ永続化を使うと、max の努力レベルでは有効でしたが、high と xhigh の努力レベルではタスク完了に必要な予算を消費してしまいました。
GPT-5.5 と Claude Opus 4.7 の使い分け
ユースケースではどう選ぶべきでしょうか。簡単な意思決定ガイドです。
| ユースケース | 推奨 | 理由 |
|---|---|---|
| リポジトリ単位のソフトウェアエンジニアリング | Claude Opus 4.7 | SWE-bench Pro で 64.3%(GPT-5.5 は 58.6%) |
| ターミナル中心の DevOps ワークフロー | GPT-5.5 | Terminal-Bench 2.0 で 82.7%(Opus 4.7 は 69.4%) |
| マルチツールのオーケストレーション | Claude Opus 4.7 | MCP-Atlas で 77.3%(テスト済みモデル中で最高) |
| ウェブリサーチ中心のワークフロー | GPT-5.5 | BrowseComp で 84.4%(Opus 4.7 は 79.3%) |
| 高度な数学中心のパイプライン | GPT-5.5 | FrontierMath ティア 1-3 で 51.7%(Opus 4.7 は 43.8%) |
| チャートや図表に対する視覚推論 | Claude Opus 4.7 | CharXiv で 82.1%(注:GPT-5.5 のスコア未公表) |
| コスト予見性が必要な本番ワークフロー | Claude Opus 4.7 | 公開価格 + トークン上限のタスク予算 |
| メモリを伴うマルチセッションのプロジェクト | Claude Opus 4.7 | セッションをまたいだ確実な想起が可能なファイルシステムメモリ |
GPT-5.5 を選ぶべきとき
GPT-5.5 は、ターミナルワークフロー、ウェブ検索、数学、長コンテキスト推論で明確な強みがあります。すでに ChatGPT や Codex など OpenAI エコシステムを深く使っている場合も自然な選択です。次の用途に適しています。
- ターミナル中心の DevOps とインフラ作業。 GPT-5.5 は Terminal-Bench 2.0 で 82.7%、Opus 4.7 は 69.4%。本比較全体で最大の差です。
- 単一の巨大入力に対する長コンテキスト文書分析。 GPT-5.5 は OpenAI のモデルとして初めて 100 万トークンのフルコンテキストが実用域に達し、30 万トークンのテストでも GPT-5.4 が崩れた場面を乗り切りました。
- ウェブリサーチ中心のワークフロー。 GPT-5.5 は BrowseComp で 84.4%、Opus 4.7 は 79.3%。Pro では 90.1% まで伸びます。
- 数学中心の推論。 GPT-5.5 は FrontierMath の両ティアでリードし、最難関では差が大きくなります(ティア 4 で 35.4% 対 22.9%)。数値精度が不可欠なワークフローでは重要です。
Claude Opus 4.7 を選ぶべきとき
Opus 4.7 は、Claude Opus 系が「コーディング最強 LLM」であることを裏付けました。視覚面の強化により、マルチモーダル用途にも好適です。次の用途に Claude Opus 4.7 を使ってください。
- 密な監督なしでの長時間のエージェント型コーディング。 自己検証と
xhigh努力レベルはまさにこのために設計されており、SWE-bench Pro のリードは本比較で最大の単一ベンチマーク差です。 - 高解像度のチャート、技術図面、財務文書を扱うパイプライン。 Opus 4.6 比で CharXiv が 13 ポイント伸びたのは本リリース最大の改善点です。
- 大量のエージェント実行でコストを予見可能にしたい場合。 公開のトークン単価とタスク予算により、Opus 4.7 は見積もりが容易です。
- 複雑なワークフローでのマルチツールオーケストレーション。 Opus 4.7 は MCP-Atlas で 77.3% とトップで、連鎖的なツール呼び出しを最も確実に扱えることを示しました。
まとめ
現時点のベンチマークでは、多くのエージェント型コーディングとツール使用ワークフローにおいて Claude Opus 4.7 が有力です。SWE-bench Pro(64.3% 対 58.6%)、MCP-Atlas(77.3% 対 75.3%)、CharXiv のビジョン優位(82.1%、GPT-5.5 のスコア未公表)は、単発ではなく多様なタスクで一貫しています。主にソフトウェアエンジニアリング、マルチツール編成、視覚推論が中心なら、まず Opus 4.7 を検討します。
GPT-5.5 はターミナルワークフロー、数学、ウェブ検索、長コンテキスト推論で実利があります。Terminal-Bench 2.0(82.7% 対 69.4%)の差は本比較で最大の優位です。BrowseComp(84.4% 対 79.3%、Pro なら 90.1%)や FrontierMath、特にティア 4(35.4% 対 22.9%)の差も大きい。ワークフローがターミナル中心、数学重視、リサーチ駆動、あるいは単一の巨大文書に対する推論に依存するなら、GPT-5.5 は真剣に検討する価値があります。
標準レートでは出力トークンの単価で Opus 4.7 が 20% 安価($25 対 $30)で、GPT-5.5 Pro が必要な場合は差がさらに拡大します(私見では 9 割超のユースケースで Pro の高価格に見合いません)。また、Anthropic が報告する Opus 4.7 の出力トークン 35% 削減(Opus 4.6 比)により、実効コストは公称単価より低くなります。コスト予見性が性能と同等に重要な本番システムでは、Opus 4.7 のタスク予算が GPT-5.5 にはまだない追加のコントロール層を提供します。
より広くエージェント型 AI に追いつくには、AI Agent Fundamentals スキルトラックの受講をおすすめします。
GPT-5.5 と Claude Opus 4.7 に関する FAQs
エージェント型コーディングでは、GPT-5.5 と Claude Opus 4.7 のどちらが優れていますか?
コーディングの種類によります。リポジトリ単位のソフトウェアエンジニアリングでは Opus 4.7 が優位(SWE-bench Pro で 64.3% 対 58.6%)ですが、ターミナル中心の DevOps ワークフローでは GPT-5.5 が圧倒(Terminal-Bench 2.0 で 82.7% 対 69.4%)です。
GPT-5.5 Pro はベースの GPT-5.5 の 6 倍の価格に見合いますか?
ごく限られた用途に限っては価値があります。Pro ティアは高度な数学(FrontierMath)とウェブ検索(BrowseComp)で有意な向上をもたらしますが、ほとんどのコーディングや推論タスクでは、ベースの GPT-5.5 でコストの一部でほぼ同等の性能が得られます。
価格面で GPT-5.5 と Claude Opus 4.7 はどう違いますか?
どちらも入力は 100 万トークンあたり $5 ですが、出力は Opus 4.7 のほうが 20% 安価($25 対 $30)です。Opus 4.7 はタスクごとにトークン支出を上限設定できるタスク予算も提供しますが、GPT-5.5 にはまだありません。GPT-5.5 は 標準料金の半額となるバッチ/フレックス価格を提供しています。
ビジョンやマルチモーダルタスクではどちらが優れていますか?
現時点で裏付けのある実績は Opus 4.7 が強く、CharXiv 視覚推論で 82.1% を記録(前バージョンから 13 ポイント上昇)。GPT-5.5 は CharXiv の公開スコアがなく、直接比較はまだできません。